寝ている猫の頭におもちゃをのせて家をでる。
コイツらのために勢いで購入した場所が、まさか、自分のための本拠地になるとはね。
帰る場所があることは、幸せである。
自分の都合で周囲を連れ回す選択は僕には無く、今日も独り北上する。
明日は更に北上し、未知の土地に足を入れる予定だ。将来また水没するであろう地域に行く。同じ土地でやり直す「正しい」復興を見に行くのだが、出身地の重力から逃れられない印象を僕は受けてしまうのだ。
思い出は、過ぎる時間と共に美しくなるものであり、時に決断を鈍らせる原因となる。
出身地に本拠地をつくることができなかった、つくらなかった人達に僕はエールする。重力を共に飛び越えよう。